地震に強いガイドライン工法

ガイドライン工法

 

ガイドライン工法というのは、瓦を1枚1枚桟木に固定して、震度7クラスの地震がきても崩れない優れた工法のことをいいます。
瓦は重くてすぐに落ちてしまい、地震には弱いと思われていましたが、それは瓦の屋根だからだめというわけではなく、瓦の重さにあった耐震対策をし、瓦の工法を耐震工法で施工すれば、震度7以上の揺れが起こっても十分対応することができます。

本来の瓦は桟木に瓦をひっかけているだけで、屋根本体には固定されていません。
一方ガイドライン工法は瓦を1枚1枚釘でとめていますから、巨大地震が起こっても瓦が落ちることはありません。
ガイドライン工法は耐震工法の通称で、瓦1枚1枚をステンレス釘で固定していくことで、地震の揺れで瓦がずれたり、台風などで発生する突風で瓦が飛ぶのを防止することができます。
棟部は耐久性に優れた屋根用の南蛮漆喰を使用して、棟瓦を1段1段積み上げていきます。通常なら土をつかって仕上げていきますが、ガイドライン工法の場合は南蛮漆喰のみで仕上げていきますから、漆喰がはがれたり落ちたりすることもありません。
陶器瓦は江戸時代から普及し、日本の風土に適した屋根材ですが、ガイドライン工法は手間と時間がかかる作業のため使わない会社も少なくありません。ただ近年の大地震が頻発する日本では、瓦の落下による被害が起こる可能性も高いので、ガイドライン工法がおすすめです。

以前は粘土で葺き固めていた瓦ですが、ガイドライン工法では釘や銅線、金具を使用して屋根材と緊結していきます。
木造建物の主な倒壊要因としては、壁量不足が考えられます。ただ昭和56年の建築基準法改正後に建てられた建物では、屋根の重さに関わらず被害は少なくなってしますが、古い建物の場合瓦屋根が重量過大となってしまうケースもあるため、建物の被害が目立つようになっています。
屋根の耐震性能は単に屋根を強くすれば良いというわけではなく、家全体の構造自体が耐震であることが求められています。

地震で瓦が落ちるのは、建築時の施工技術に左右されます。多くの人は屋根瓦が落ちるのは瓦が地震に弱いからだと思っているかもしれませんが、一番の問題は耐震技術が確立される以前の建築基準で建てられているかどうかによります。
新しい基準で建てられた建物は、地震が起こっても被害が少なく、技術が確立される前に建てられた建物は被害が大きくなったという差がでてしまいます。
地震で屋根瓦が壊れた建物のほとんどは、瓦の下に土が現れています。これは土葺きという工法で、粘着性のある葺き土の上に瓦を並べただけのべた置きが特徴となっています。
そのほかにも、瓦を桟にひっかけただけの引掛から葺きも多く含まれています。ガイドライン工法は瓦を1枚1枚釘で固定していますから、地震による揺れや強風によって瓦がずれたり飛ぶこともありませんから、倒壊のリスクも軽減させることができます。

漆喰は瓦を施工するための葺き土を雨から守り、見た目も白くきれいにするという役割を担っています。最近主流となっているガルバリウムやスレートの屋根材には漆喰は使用しませんが、瓦屋根には漆喰が使用されています。
漆喰は一般的に寿命は20年程度と言われています。それ以降になると漆喰がはがれるなどの症状が出てくるため、メンテナンスが必要になります。
万が一漆喰にはがれが起きた場合でも、葺き土が浸食されるまでには数年の時間がかかりますから、悪質な訪問業者と契約しないようにしましょう。
最近は漆喰がはがれてそこから雨水が浸入して雨漏りを起こす可能性が高いので、いますぐに屋根のりフォームが必要だなどと不安をあおるような説明をし、契約をさせる業者もいますが、漆喰の異常は近くでみないとわかりませんし、屋根の下から見て雨漏りが起こるほどの異常に気づくことはできませんから、だまされないようにしましょう。
もし雨漏りが起こるのであれば、それは漆喰ではなく葺き土が湿っていることにあります。漆喰がはがれたらすぐに工事をしないといけないと思っている人も多いかもしれませんが、最近は葺き土と漆喰が一緒になった南蛮漆喰を標準化しているので、葺き土を使っている瓦屋根は減少傾向にあります。
もし下からちらっとみただけで雨漏りを指摘するような訪問業者には、普段の瓦工事でガイドライン工法を採用しているか。かわらぶき技能士かどうか。割れた瓦をなんというかなど質問をしてきちんと答えられるか確認するとよいでしょう。
きちんと答えられない業者は、雨漏りの原因をきちんと理解していませんし、手抜き工事をする可能性も考えられますから怪しい業者だと思った方がよいでしょう。

瓦屋根は日本の風土にあった屋根材で、耐用年数も長いのでメリットの多い屋根材だといえます。ガイドライン工法を採用すれば、大地震による倒壊を防ぐこともできますし、突風によって瓦が飛ぶこともありませんから、これから屋根を葺く場合にはガイドライン工法で施工してもらうことをおすすめします。